「ロレックスを売ったら、税金はかかるの?」——時計仲間からもよく聞かれる質問です。
結論から言うと、自分で使っていたステンレスのロレックスを売っても、原則として税金はかからないと考えられます。ただし、金無垢(金・プラチナ製)や宝石付きのモデル、転売目的で買ったものは話が別です。
この記事では、法律の条文と国税庁の説明をもとに、どんなときに税金がかかるのかを整理しました。ワタシは税理士ではないので、最後の判断は税務署や税理士に確認していただくのが確実です。そのうえで、確認するときに「何を聞けばいいか」がわかるように書いています。
※2026年11月時点の法令にもとづいています。
結論:ロレックスの売却と税金の早見表
| こんなロレックスを売るとき | 税金 |
|---|---|
| ステンレス製で、自分で使っていたもの | 原則かからないと考えられる |
| 金・プラチナ製(金無垢)で、1本30万円を超えるもの | かかる可能性が高い(譲渡所得) |
| ステンレスと金のコンビ、ダイヤ付きのもの | 判断が分かれ得る。税務署に確認を |
| 転売で利益を出す目的で買ったもの | 素材に関係なくかかる(雑所得・事業所得) |
なぜこうなるのか、順番に見ていきます。
なぜステンレスのロレックスは非課税なのか|条文を読んでみる
ポイントは「生活用動産(せいかつようどうさん)」という考え方です。
所得税法では、自分や家族が生活に使っている家具・食器・衣服などを売って得たお金には、税金をかけないことになっています(所得税法第9条第1項第9号)。条文はこうです。
自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
そして、その「政令で定めるもの」の範囲を決めているのが、所得税法施行令第25条です。
生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品
少しややこしいので、かみくだくとこうなります。
- 生活に使っている物を売っても、基本は非課税
- ただし、貴金属・宝石とその製品、書画・骨とう・美術工芸品で、1個(1組)30万円を超えるものは例外として課税
国税庁のタックスアンサーでも、生活用動産の例として「家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服など」が挙げられ、例外として「貴金属や宝石、書画、骨とうなど」で1個または1組30万円を超えるものが示されています(国税庁 No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法)。
例外のリストに「時計」という言葉は出てきません。そしてステンレスは貴金属ではありません。そのため、自分で使っていたステンレスのロレックスは、何百万円で売れたとしても生活用動産として非課税、と考えるのが一般的です。
ただし「言い切れない」部分もある
なお、国税庁は腕時計について名指しで「非課税」とは書いていません。また、数百万円もする時計が条文の「生活に通常必要な動産」に当たるのか?という論点もあり得ます(それを言うならどこかの社長さんが通勤に使っているフェラーリも生活用動産ですよね…)。
多くの税理士や買取店の解説は「普段使いのステンレスモデルなら非課税」という立場ですが、売却額がかなり大きい場合や、気になる点がある場合は、売る前に税務署へ相談しておくと安心です。
金無垢のロレックスは課税対象になり得る
一方で、ケースやブレスレットが金やプラチナでできたモデルは、施行令25条の「貴金属の製品」に当たると考えられます。1本30万円を超えれば例外に入るので、売って利益が出れば「譲渡所得」として課税対象になる可能性が高いです。
ロレックスには、デイデイトのように金・プラチナでしか作られていないモデルもありますし、デイトナやGMTマスターIIにも金無垢のモデルがあります。同じ名前のモデルでも素材によって扱いが変わるので、自分の時計の型番と素材を、保証書などで確認しておくのが第一歩です。
ステンレスと金を組み合わせた「コンビ(ロレゾール)」や、文字盤やベゼルにダイヤが入ったモデルは、どこまでが「貴金属・宝石の製品」なのか判断が分かれ得ます。ここは自己判断せず、税務署に確認するのがおすすめです。
譲渡所得の計算方法
課税対象になった場合の計算は、次のとおりです(国税庁 No.1460 総合課税の譲渡所得)。
- 売った金額 −(買ったときの金額+売るときにかかった費用)− 特別控除50万円
- 持っていた期間が5年以内なら、その金額がそのまま所得になる(短期)
- 持っていた期間が5年超なら、その2分の1が所得になる(長期)
たとえば、300万円で買った金無垢のモデルを6年持って、500万円で売ったとします(売るときの費用はゼロとして単純化)。
- 500万円 − 300万円 − 特別控除50万円 = 150万円
- 5年超なので2分の1 → 75万円がほかの所得(給与など)と合算されて課税
同じ条件でも、5年以内に売っていたら150万円がそのまま合算されます。「5年」の線をまたぐかどうかで、税金が大きく変わるということですね。
逆に言えば、利益が50万円以下なら特別控除の範囲に収まり、税金はかかりません。
なお、買ったときの金額(取得費)の扱いには細かいルールがあり、品物や持っていた年数によって計算が変わることがあります。上の例はあくまで仕組みを知るための単純な計算です。
会社員でも確定申告が必要になる
給与を1か所から受けている会社員の方は、給与以外の所得の合計が20万円を超えると確定申告が必要です(国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)。金無垢のロレックスで大きな利益が出た年は、申告が必要になるケースが多いと考えておきましょう。
転売目的なら、話はまったく別
ここまでの「非課税」の話は、自分で使うために買った時計が前提です。
利益を出すために買って売る、つまり転売の場合は「生活用動産」に当たりません。国税庁も、継続的な売買による所得は事業所得や雑所得になるとしています(上記No.3105)。この場合は、ステンレスでも課税対象で、譲渡所得の特別控除50万円も使えません。
さらに、転売目的で中古品を仕入れて売ることを繰り返すと、古物商の許可が必要になる可能性もあります。正規店がここ数年、購入制限や本人確認を強めているのも、こうした転売への対策です(くわしくは2026年ロレックス相場の真実、ロレックスの予約制度とは?でお話ししています)。
ワタシはあくまで時計好きのコレクターとして、自分が身につけるために時計を買っています。「好きで使っていた1本を手放す」のと「利益目当ての売買」とでは、税金の世界でもはっきり線が引かれている、ということは知っておいて損はありません。
損をして売ったときはどうなる?
反対に、買った値段より安く売って損をした場合はどうでしょうか。
生活用動産を売って出た損は、法律上「ないもの」とみなされます(所得税法第9条第2項)。つまり、ステンレスのロレックスを売って損をしても、その損を給与などほかの所得と差し引きして税金を減らすことはできません。
ロレックスを売る前にやっておきたい3つのこと
① 保証書と購入時の領収書を保管しておく
課税対象になる場合、「いくらで買ったか」が利益の計算のもとになります。購入時の金額がわかる書類はもちろん、保証書は査定額にも影響しますから、時計と一緒に大切に保管しておきましょう。
② 型番から素材を確認しておく
上で見たとおり、税金の扱いは素材で大きく変わります。保証書や型番で、ステンレスなのか、金・プラチナなのか、コンビなのかを確認しておくと、税務署に相談するときも話が早いです。
③ 1社だけで決めず、複数の業者で査定を比べる
税金がかからないステンレスモデルなら、手取りを決めるのは査定額そのものです。ワタシが愛用のGMTマスターIIを5社で査定してもらったときは、最高と最低で約50万円の差がつきました(実際には売っていません)。金無垢モデルの場合も、売値が高いほど利益の計算に響くので、やはり比べる価値があります。業者選びと交渉のコツはロレックスを高く売る方法にまとめています。
📋 電話ラッシュなしで複数社をまとめて比較
ブランド一括査定「ラクーダ」は、運営側が複数の買取業者から見積もりを取る方式。一般的な一括査定にありがちな業者からの一斉電話がなく、忙しい方でも相場を比べられます。
まとめ|素材と目的で、税金のかかり方が変わる
- 自分で使っていたステンレスのロレックスは、生活用動産として原則非課税と考えられる(ただし国税庁は腕時計を名指ししていない)
- 金・プラチナ製で1本30万円超のものは、売って利益が出れば譲渡所得として課税される可能性が高い。特別控除50万円、5年超なら2分の1
- コンビやダイヤ付きは判断が分かれ得るので、税務署に確認を
- 転売目的なら素材に関係なく課税。古物商許可が必要になる可能性も
- 損をして売っても、ほかの所得と差し引きはできない
税金がかからないケースが多いとはいえ、「自分の時計はどれに当たるのか」を一度確かめておくと、安心して手放せます。売るかどうかを迷っている方は、まずは今の査定額を知るところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考:所得税法(e-Gov法令検索)/所得税法施行令(e-Gov法令検索)/国税庁タックスアンサー No.3105・No.1460・No.1900。個別の判断は、税務署または税理士にご確認ください。


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