ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的なエネルギー価格の高騰はいまだ続いており、それによる電力調達価格の高騰で新電力各社は燃料費調整額の上限撤廃を余儀なくされており、23年2月現在ほとんどの新電力が燃料費調整額の上限を撤廃しています。こうなると際限なく電気料金が上がる可能性が出てきており家計にも大きな影響を与えかねません。今回はその対策として、地域大手電力会社の規制料金プランへの戻し方と、まだ燃料費調整額の上限を撤廃していない新電力会社についてカンタンにまとめます。
地域電力会社の規制料金プランは「従量電灯B」
電力自由化前の一般家庭向けのプランは「従量電灯B・C」というもの(60AまではB、それ以上がCになります)。新電力に変更する前に契約されていた方も多いのではないでしょうか。大手電力会社では旧プランと呼ばれており(TEPCOの旧プランのURLは「old01」になってますね…笑)基本料金+3段階の従量料金という構造になっています。ほとんどのご家庭で利用する「従量電灯B」ですが、燃料費調整額に上限額が設定されているため、エネルギー価格の高騰に伴い現在はその上限値に張り付いている状況です。その結果、東京電力は2022年度の規制部門の収支は1,600億円の最終損失となる見込みと発表しています。21年度まで黒字だった規制部門ですが、上限があるため価格転嫁しきれずに赤字に転落という状況に陥っています。ただこれもいつまでも東電さんが赤字をかぶる訳にもいかず、23年6月から規制料金を平均29.31%値上げする申請を経産大臣へ提出しています(他の地域の電力会社も同様の申請)。おそらくこの申請は多少の見直しはあるにせよ通ってしまうでしょうから、電気料金の値上げとなること必至です。これに対する新電力各社も燃料費上限額を撤廃し、電気料金は上がりつづけている状況のため、今後3割ほど値上げはされるものの上限のある規制料金プランで一旦様子をみて、6月以降、各社の料金を比較しまた新電力への移行を検討するのもひとつの手と思われます。
<東京電力の従量電灯B・C>https://www.tepco.co.jp/ep/private/plan/old01.html
東京電力の「従量電灯B」はネットでは契約できない!
いまどきは多くの手続きがネットでできる時代ですが、この「従量電灯B」についてはネットでは契約できずオペレーターに電話で直接申し込む必要があります(ネットで申し込みしようとしても自由化後の新プランしか表示されないのでご注意を)。しかも受付時間は9時〜17時のみで日曜祝日は受け付けていません。下記のフリーダイヤルは従量電灯Bに変更する方が多いせいかなかなか繋がらないのですが、時間帯を変えるなどして諦めずにチャレンジしてください。その際お手元に検針票があると供給地点特定番号がわかるためスムーズです。なお検針票がなくても利用場所の住所を正確に伝えられれば大丈夫なようです。
東京電力の従量電灯B切り替えTEL:0120-995-001
受付時間:9時~17時(日曜・休・祝日除く)
燃料費調整額に上限額が設定されている新電力はどこ?
私は一旦従量電灯Bに戻して、23年6月までは様子をみることにしましたが、従量電灯Bではなく燃料費調整額に上限額が設定されている新電力を探してみたところ、関東エリアでは下町でんきとコスモでんきの2社がありました。
- 下町でんき(エネックス株式会社)https://www.cosmo-denki.com/
- コスモでんき(コスモ石油マーケティング株式会社)https://www.cosmo-denki.com/
- 沖縄ガスニューパワー https://www.ognp.co.jp/
- 北海道ガス https://www.hokkaido-gas.co.jp/
コスモ石油が母体の「コスモでんき」は23年4月以降に地域大手電力会社の値上げ申請を踏まえた価格改定を予定していますが、おそらく地域電力会社の料金を下回る価格設定とするのではないかと推測しています。プランも金額の割引で安くなるプランと地域電力会社と同じ料金で、よりdポイントが貯まるプランもあり、移行先としては魅力がありますね。
「下町でんき」は小規模な会社でコストを抑えた経営で頑張っているようですが、昨年突然のエルピオでんきの撤退によりENEOSでんきに移行した経験から小規模事業者には撤退リスクがあると判断し見送りとしました。
まとめ:いつまで続くかわからない電気代の高騰、情報収拾も忘れずに
でんきの乗り換えは基本的にネットや電話で簡単にできるものですので、その時々でご家庭にマッチした電力会社とプランを検討し、乗り換えを積極的に行うのがよいですね。ただまだまだ先が見えない情勢ですので、一旦地域電力会社の規制料金プランに逃がすというのも一つの手だと思います。その際は「従量電灯B」というプランを選ぶようにしましょう。
以上、参考になれば嬉しいです。これからもおトクになる記事を書いていきますのでよろしくお願いします。
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